2020 旭硝子財団 助成研究発表会 要旨集
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4..研研究究結結果果((フフロロンン23をを用用いいたたN-ススルルフフィィニニルルイイミミンンにに対対すするる立立体体選選択択的的ななトトリリフフルルオオロロメメチチルル化化反反応応)) 昨年の報告で,我々は塩基としてKHMDSとP4-tBuを使い分けることによってN-スルフィニルイミンに対するトリフルオロメチル化の立体選択性を制御できることを報告した2d)。その反応を応用して,より難易度の高い,アミノ酸誘導体イミンに対するトリフルオロメチル化と,トリフルオロメチル基を持つイソインドリンを立体選択的に合成する手法に取り組んだ2g)。 (L)-ロイシン誘導体イミンを基質として塩基の検討を行ったところ,KHMDSを用いたときに(S)体,P4-tBuを用いたときに(R)体が優先的に生成することが分かったため,以下に示す基質検討を行った。検討の結果,様々なアミノ酸誘導体イミンに対して高収率かつ高ジアステレオ選択的に目的物を得ることができた(図3)。 図3. KHMDSとP4-tBuを使い分けるN-スルフィニルイミンに対する立体選択トリフルオロメチル化反応 図4. P4-tBuを用いるN-スルフィニルイミンのタンデム型立体選択トリフルオロメチル化反応 さらにイソインドリンのタンデム型立体選択的トリフルオロメチル化反応を検討したところ,塩基としてP4-tBuを用いたときに高収率かつ高ジアステレオ選択的に目的物を得ることができたので,以下の反応条件で基質検討を行った。電子供与性基,電子求引性基,ハロゲン置換基を持つ基質に対して中程度以上の収率かつ高ジアステレオ選択的に目的物を得ることができた(図4)。 5. 研研究究結結果果((フフロロンン23をを用用いいたたメメチチルルエエスステテルル化化反反応応)) エステルに対するトリフルオロメチル化反応を,昨年報告したカリウムカチオンとグリム系溶媒を用いた手法2d)での反応を行うことにした。その結果,ナフチル基を持つ基質を用いた検討によってtriglyme溶媒下で収率良く反応が進行することがわかったため,以下のような基質検討を行った(図5)。 図5. KHMDS/triglymeを用いるエステル類のトリフルオロメチル化反応 6. 今今後後のの展展開開 最終年度は,[2.2.2]-cryptandを用いたフロロホルムによるトリフルオロメチル化反応に成功し,またフルオロホルムによるトリフルオロメチル基を有するジアミンやイソインドリンの合成にも成功した。また,これまで難しいとされていたエステルへのトリフルオロメチル化によるトリフルオロメチルケトンの合成にも成功した。当該研究課題はこれで終了となるが,引き続き様々なフロン類を用いた含フッ素化合物の合成法を検討していく所存である。 7. 参参考考文文献献 1. N. Shibata, Bull. Chem. Soc. Jpn. 2016, 89, 1307. 2. a) H. Kawai, Z. Yuan, E. Tokunaga, N. Shibata, Org. Biomol. Chem. 2013, 11, 1446. b) S. Okusu, K. Hirano, E. Tokunaga, N. Shibata, ChemistryOpen 2015, 4, 581. c) S. Okusu, E. Tokunaga, N. Shibata, Org. Lett. 2015, 17, 3802. d) N. Punna, T. Saito, M. Kosobokov, E. Tokunaga, Y. Sumii, N. Shibata, Chem. Commun. 2018, 54, 4294. e) T. Saito, J. Wang, E. Tokunaga, S. Tsuzuki, N. Shibata, Sci. Rep. 2018, 8, 11501. f) K. Hirano, S. Gondo, N. Punna, E. Tokunaga, N. Shibata, ChemistryOpen 2019, 8, 406. g) K. Hirano, T. Saito, Y. Fujihira, D. M. Sedgwick, S. Fustero, N. Shibata, J. Org. Chem. 2020, 85, 7976. 3. a) K. Matsuzaki, T. Hiromura, E. Tokunaga, N. Shibata, N. ChemistryOpen 2017, 6, 226. b) K. Matsuzaki, T. Hiromura, H. Amii, N. Shibata, N. Molecules 2017, 22, 1130. 8. 連連絡絡先先 柴田哲男:名古屋市昭和区御器所町 e-mail: nozshiba@nitech.ac.jp; TEL 0527357543 −103−

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