2020 旭硝子財団 助成研究発表会 要旨集
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子子牛牛のの気気管管支支炎炎・・肺肺炎炎のの早早期期発発見見をを目目的的ととししたた、、呼呼吸吸数数・・心心拍拍数数計計測測 シシスステテムムののたためめのの高高感感度度なな受受光光部部構構造造のの低低消消費費電電力力脈脈波波セセンンササのの開開発発 九州大学大学院工学研究院 助教 野上 大史 1. 研究の目的と背景 家畜の生産性を高度に追求することによって起こる疾病(生産病)は、畜産において深刻な課題である。生産規模を大きくすることは生産性を高めるためには必要なことであるが、一方で大規模の牛群を少人数で監視することは難しく、生産規模が大きいほど被害は増大する。家畜共済統計表によると、我が国での呼吸器病による牛の死廃頭数が年間数万頭、病傷事故件数は年間40万件以上(乳牛と肉用牛の死廃頭数:19,666頭・乳牛と肉用牛の病傷事故件数:43,5966件;家畜共済統計表、農林水産省2013)であり多大な経済的損失を与えている。 数十~数百頭規模で飼育されている牛群において、個々の牛の疾病発症を正確に予測するためには日々変化する牛の生体機能情報を、労力をかけず正確に連続的にセンシング・解析できる技術の開発とその利用・評価技術の構築することが必要である。すでに無線式の装着型体温センサ端末の報告はあり[1-3]、そのデータより初期発熱を検知することで、疾病のウシを早期に検知することが可能である(図1).初期発熱を検知しすぐに対処することで重篤化を防ぐことができる。しかしながら、重篤化は防ぐことは出来るものの疾病には感染しており、その後の成長不振につながる場合もある。より精微に個体を管理するためには、初期発熱よりも前の体調の悪い状態を検知し、未然に疾病を防ぐことが求められている。 ゆえに本研究では、初期発熱よりも前の体調の悪い状態を検知することを目的とし、体温以外の生態情報である心拍数・呼吸数を測定可能なウエアラブルな無線センサ端末を開発し、その評価を行っている。 2. 研究内容 (実験、結果と考察) 無線センサ端末は、センサ部、アナログ信号処理回路、無線送信回路から主に構成される。センサ部は光電式脈波計を用いており、LED(Light Emitting Diode)と受光部から成る。LEDから皮膚に照射された光は、散乱しながら血管まで到達し、受光部に戻ってくる。血管の収縮・拡張による散乱光の変動を捉えることで、脈を測定することが可能である。アナログ信号処理回路では、受光部で捉えた信号に特定のフィルタかけることで、呼吸による成分、あるいは心拍による成分を増幅する。無線送信回路ではその増幅した信号を送信する。 図2に試作した無線センサ端末を示した。1次試作では、アナログ信号処理回路の検証、ウシ装着時の無線通信機能の検証を行うことを目的とし、回路の変更や電波強度の変更が容易に行うことができる構成とし 図1 ウエアラブルセンサ端末による初期発熱検知システム 図2 試作無線センサ端末。1次試作(右)、2次試作(左) −126−発表番号 62〕

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