2020 旭硝子財団 助成研究発表会 要旨集
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当該デバイスを用いて,4-bit QPSK信号に対する類似度計算の動作実証を行った.まず,波長1550 nmのプローブ光を10 GHzにて位相偏移変調することで,RZ-QPSK光信号を生成した.なお,符号系列は27-1の疑似ランダム信号とした.つづいて,その中から任意の4-bit光信号を抽出し,光ファイバを通して類似度計算デバイスへ入力した. 入力光信号は,00 00,00 01,00 11,11 00,および11 11の5つのパターンとした.なお,類似度計算の対象には,00 00符号および11 00符号を選択した.デバイスからの出力光信号は,光ファイバへ結合させた後でバランス型フォトディレクタにて受光し,その後オシロスコープを用いて波形観察を行った. 図4に,デバイス出力光信号に基づいて再現した複素座標を示す.比較対象を00 00符号とした場合には(黒丸),入力した光信号において00 00符号に一致しているものほど複素平面上の右上に,異なるものほど左下に配置していることが分かる.一方で,対象を11 00符号とした場合には(白丸),光信号が11 00符号に一致しているものほど右上に,異なっているものほど左下に配置していることが分かる.図4より,対象符号と入力信号との類似度が複素平面上の位置関係に反映されていることが分かる.とくに,複素平面にて水平方向からπ/4傾いた軸を考えたとき,この軸に垂線な方向には同一の類似度をもつ光信号が並ぶことが分かる. 図4 デバイス出力に基づいて再現した複素座標 図5に,類似度計算デバイスにおける動作波形を示す.このとき,オシロスコープの前段にて,出力光信号にπ/4位相シフトした光を干渉させた.これにより,複素平面上にてπ/4傾いた軸への射影成分を取り出した.図5において,上半分は00 00符号に対する動作波形を,下半分は11 00符号に対する動作波形をそれぞれ示している.なお,各波形における時間中心がπ/4シフト光との合波信号に相当している. まず,00 00符号に着目すると(上半分),すべての入力において,00 00符号と一致しているものほど光強度が大きく,異なるものほど光強度が小さいことが分かる.とくに,対象符号と入力信号とのハミング距離が光強度に正確に反映されていることが分かる.なお,11 00符号に着目した場合にも(下半分),同様の傾向が確認できている.すなわち,対象符号と入力信号との類似度計算が光処理にて実現できていると分かる.以上の結果から,4-bit QPSK信号に対する類似度計算に対して動作実証を行うことができたと結論付けた. 図5 類似度計算デバイスにおける動作波形 3. 今後の展開 今回の助成により,4-bit QPSK信号に対する類似度計算の動作実証に成功することができた.今後は,対象符号長の延伸化,光変調方式の更なる多値化,およびデバイスのアレイ化などに取り組んでいく.これにより,光パケットスイッチ技術の確立に貢献していきたい. 4. 参考文献 [1] S. J. B. Yoo et al., 2002. IEEE Photonics Technology Letters, 14(8): 1211-1213. [2] R. Takahashi et al., 2004. Journal of Optical Networking, 3(12): 914-930. [3] T. Segawa et al., 2016. Journal of Lightwave Technology, 34(8): 1844-1850. [4] Y. Aikawa, 2019. IEEE Photonics Journal, 11(3): 1-11 5. 連絡先 E-mail: aikawa.y@okinawa-ct.ac.jp 0.02-0.020Intensity (a.u.)0.02-0.020Intensity (a.u.)Time(ns)-0.30.300 00signal00 01signal00 11signal11 00signal11 11signal-0.30.3-0.30.3-0.30.3-0.30.3Time(ns)Time(ns)Time(ns)Time(ns)0123401234-0.04-0.0200.020.04-0.04-0.0200.020.04Imaginary part (a.u.)Real part (a.u.)00 0011 1100 0111 0000 1111 0000 0100 1111 1100 002-bit1-bit0-bit4-bit3-bit00 001100−131−

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