2020 旭硝子財団 助成研究発表会 要旨集
34/206

自自己己集集合合錯錯体体ののナナノノササイイズズ空空間間ににおおけけるる複複合合金金属属ナナノノ粒粒子子・・ククララススタターーのの 超超精精密密ヘヘテテロロ集集積積 東京大学工学系研究科応用化学専攻助教 堂本悠也 11.. 研研究究のの目目的的とと背背景景 金属ナノ粒子・ナノクラスターの触媒、光学材料、センシングなどにおける幅広い有用性が明らかとなるのに伴い、粒径・形態や組成を制御した合成方法の開発が種々試みられてきた。近年は特に、直径が1〜2 nm程度のナノクラスターについて、粒径や形状、組成に大きく依存した特徴的な機能発現が見出されつつある一方で、一般性をもった構造パラメータの制御方法については未開拓な面が多い。我々のグループではこれまで、有機配位子と金属イオンの配位駆動自己集合によって構築された中空錯体[1]の内部空間に前駆体を取り込みつつ、縮合反応を進行させることで、粒径を高度に制御したシリカや酸化チタンのナノ粒子合成に成功している。[2] この方法では、直径3 nm程度に及ぶ球状錯体の内部空間を縮合反応の足場となる親水性官能基で修飾することで、速度論的なナノ粒子の成長制御を達成しており、内面官能基や前駆体の種類および集積方法を一般化することで、さらに未知の複合ナノ粒子・クラスターの構造制御と新たな物性・機能発現に展開できる可能性を秘めている。そこで本研究においては当初、以下の目的を新たに設定し検討を行うこととした。 図図11.. 球状鋳型錯体内における金属ナノ粒子の合成 錯体の内部空間における複合ナノ粒子合成法および粒径精密制御の確立 自己集合球状錯体の特徴である、混合配位子型の自己集合現象をナノ粒子合成のための足場構築と融合させることで、複数の異なる足場を集積させた内部空間における異種複合ナノ粒子の形成を行う。また、直径が1〜2 nm前後の比較的小さな粒径領域におけるナノ粒子合成制御の達成と一般化を試みる。 ナノクラスター群の超精密ヘテロ集積への展開 自己集合錯体のもつ構造一義性に基づき、高度に空間配置が制御された足場におけるナノクラスター形成を行うことで、独立した複数のナノクラスターが3次元的に密に集積された、これまでにない機能性物質の創製を検討する。 22.. 研研究究内内容容((実実験験、、結結果果とと考考察察)) はじめに、手法の精密化と一般化を指向した新規鋳型錯体の構築を検討した。具体的には、金属イオン(M = Pd2+)と種々の有機配位子(L)の錯形成について最適化を行うことで、いずれもM12L24組成の球状中空構造をもつ以下の鋳型錯体群の開発に初めて成功した。 各各種種鋳鋳型型錯錯体体群群のの構構築築 鋳型錯体の内部に酸、塩基、酸化剤、還元剤の4大基本反応を進行させることができる反応活性部位を全て導入可能とすることができた。また、例えば酸部位と不活性基をそれぞれもつ配位子の混合配位子型自己集合を行うことで、反応活性点の密度を調節することを可能とした。これらの結果は、金属ナノ粒子・ナノクラスターの形成反応として適用可能なバリエーションを向上させるのに有意義なものであると期待される。 図図22.. 新規形式の鋳型構築に用いた各種配位子と手法 深深度度調調節節型型鋳鋳型型にによよるるナナノノ粒粒子子のの精精密密粒粒径径制制御御 加水分解能を有するグルタミン酸部位を鋳型内の所望の深度に3次元配置(3段階調節)した鋳型錯体群を用い、最適化の結果採用した酢酸亜鉛無水物を前駆体として粒子形成を行うことで、2.4〜3.8 nmの間でのナノ粒子粒径制御を達成した(図3, 論文準備中)。なお解析にあたっては、溶液中において構築したナノ粒子をカーボン膜を蒸着したマイクログリッド上に塗布し、透過電子顕微鏡 (TEM)およびエネルギー分散型X線分析(EDX)を用いて解析した。さらに、加える前駆体の当量を調節することによる粒径制御への摂動効果などについても調べるとともに、確立した手法が酸化マグネシウムといった他の粒子合成へも適用可能であることを実証した。 −28−発表番号 14〔中間発表〕

元のページ  ../index.html#34

このブックを見る