褐色雲(Atmospheric Brown Clouds:ABCs)とは、化石燃料の燃焼や砂漠化による砂塵など、エアロゾルによって生じた人工的な大気汚染現象である。煤(すす)や化学物質を含むこのスモッグは日光を吸収して褐色に見えるため、こう呼ばれる。褐色雲は呼吸器や心臓疾患のリスクを高め、雲の周辺では大気温が上昇し、日射量の減少により地表の気温は低下、農作物の収穫量減少も報告されている。アジアのモンスーン異常など、気候変動との関連も指摘される。国連環境計画(UNEP)は2003年から対策を始め、2008年には、厚さ約3 kmの褐色雲がアラビア半島から中国、西太平洋にまで広がっていると発表。ヒマラヤの雪氷の融解や健康への悪影響にも警鐘を鳴らした。